沈殿物を撹拌

思ったこととか感じたことの備忘録です。

初めての休校

ザアアアア、という大きな音で目が覚めた。
部屋の中はまだ暗い。おそらく時間は明け方前だろう。私は夫のイビキ対策のため耳栓をつけて寝ているので、この大きな音は耳栓を通り越して聞こえているということだ。音の正体は確かめなくても分かる。雨の音だ。
二つの台風が発生した影響で、私の住んでる地域にも大雨の予報が出ていた。しかし、雨の勢いは思った以上に強い。ゴロゴロ…と雷も鳴っている…
スマホで時間を確認する。朝の4時半過ぎだ。雨雲レーダーを見ると周辺の地域は真っ赤っか。しかも雨はあと数時間続くらしい。線状降水帯のようなものもできている。
その時、外がピカッと鋭く光った。次の瞬間、ドォン!!!!!と地響きがするほどの雷が鳴った。あまりの音の大きさに、家にビィィィンと響いている。
あまりの音の大きさに夫も起きた。私もベッドに備え付けてあるライトをつけてみる。電気はつくので、停電はしていないようだ。
「雷すごいね」と私が言うと、「今日学校無理じゃない?」と夫。確かに、こんな大雨の中で登校させるのは心配だ。しかし、連絡があるにしても朝の5時前では先生も出勤していない。
とりあえず目覚ましが鳴るまで寝ておくかと思い、目を閉じた。
6時半になりアラームが鳴った。いそいそと起き出してスマホを確認する。6時半の時点でアプリを通して学校から連絡が来ており(早朝出勤だ)、7時の時点で大雨特別警報が解除されなければ本日は休校とのこと。テレビのニュースをつけると、住んでいる地域の地図が紫色に染められている。特別警報の色だ。
そもそもこの「特別警報」が出た時点で公立学校は自動的に休校になる決まりなのだが、どうやら本当に出たのは今回が初めてらしく、学校側も確認を兼ねて連絡したらしい。
7時まであと10分。雨は少し小康状態になっているが、どう考えてもあと10分で解除されるとは思えない。私はまだ寝ている息子のところへ行き、「今日は学校がお休みになったよ」と伝えた。寝ぼけた息子はよく理解していないようだが、学校に行かなくてもいいと言うことだけは分かったようだ。
7時を少しすぎたところで、ママ友からラインがきた。
「今日って休校?」
ママ友は家に地上波のアンテナをつけておらず、テレビのニュースが見れないのだ。「休校だよ」と伝えると「マジかー」とびっくりしていた。仕事を休む手筈をしなければいけないからだろう。
このママ友も工場勤務のため仕事の都合はつくようだが、私はこう言う時に改めて「もう店舗では働けないな…」と思う。災害の警報が出ていても「お客さんが来るかもしれないから」という理由で出勤しなければならない仕事は大変だ。
ちなみに夫の会社は今日が株主総会だそうなので普通に出勤していった。京都の鴨川はえらく増水しているとニュースでやっていたと言うのに…(夫は京都勤務だ)。

私はというと、今日の予定が完全に狂ってしまった。
今日はワールドカップの日本対スウェーデン戦を見たあと、図書館に本を返し、その帰りにどこかでランチをして、無印良品で化粧品を買って帰る、と言うスケジュールのつもりだったのだが、警報が出ていては何もできない。
まあいいやと開き直り、サッカーを見ながらジェルネイルをした。セルフジェルネイルに最近ハマっているのだ。息子は嬉々としてタブレットでYouTubeを見たり、ロブロックスで遊んでいる。
流石に遊んでばかりでは不安なので、国語の教科書を読ませ、あとは進研ゼミを進めさせた。日本は1対1で引き分けた。

プール大好き!

小学校でもプールの授業が始まった。
それがきっかけというわけではないが、ここのところの息子は水に潜るのがとても好きになり、それに伴ってプールの授業が待ち遠しい様子だ。

「プールいつ?」
「プール入りたい」
「プール行きたい!」

毎日そればかりである。
幼稚園入園前まではスイミングプールに通っていたのだが、その時は水に入るのが嫌で嫌で進級のワッペンをなかなかもらえなかったというのに…。
きっかけとしてやはり、水中ゴーグルを購入したことだろう。ゴーグルの付け方を練習させたところ、息子はこれをいたく気に入り、お風呂にまで持ち込むようになった。そしてひたすら湯船に潜るのである。
狭いバスタブの中で鼻を摘んでぶくぶくぶく…と潜水し、しばらく経ってからぶブハー!と顔を出す。おやおや鼻水も出てますよ…と私は息子のはなを拭ってあげたりしている。

しかし、最近は梅雨のせいもあってか雨が多く、学校のプールは中止の日が多い。「プールなかった」「3くみ(息子が在籍しているのは2組)は入ってたのに」「プール無い!何でぇ?!」と毎回がっかりしているのだが、ブール授業割り当ての日に雨が降ってしまっては仕方がない。

「雨が降るのは先生のせいでも、お母さんのせいでもないでしょ」
と言い含めると、息子は憮然としながら言い返してくる。
「じゃあだれのせい?!」
「誰のせいだと思う?」
「雲!」
「雲がくるのは誰のせい?」
「……おに!」
「鬼のせいなのか!じゃあ鬼を倒さないとね」
「剣……、弓でたおす!」
「そうだね。弓を空にバシバシ撃って、空の鬼を倒さないとね」

そんなやり取りをしていると、息子をプールに連れて行ってあげたくなるのだ。
しかし、残念ながら住んでいる地域には「市民プール」も「レジャープール」もない。近隣の市や町にはあるのだが、どこも七月からの営業で六月はまだ時期じゃない。

「プール行きたい!」

息子よ、もう少し待ってくれ。
時期になったらたくさん連れてってあげるからね。

自分の周囲を快適に変える

先日から新しい車に乗り換えた。
前の車がとうとう走行距離10万キロを超えたので、これを機に買い替えたのだ。
約9年ぶりに買い換える車は機能も刷新されまくっておりかなり快適で、座席もトランクも広くなった。そして、それに合わせて車体も二回りくらいデカくなった。
住んでいる地域は昔ながらの狭い道が多いため、運転中はかなりハラハラである。そのうち慣れて自分の手足のように運転できる日が来るのだろうか…。

ところで、私はXに趣味のアカウントを持っている。
フォローしているのはイラストや漫画考察系のアカウントで、私も好きな漫画の感想を呟いたりして日々楽しんでいる。のだが。
ここ最近、Xが妙な雰囲気なのだ。

はっきり言うと、フォローしているアカウントの多くで政権批判や現首相(高市早苗総理)への過度な批判が行われているのである。

政権批判は大いに結構だ。私も有権者として現政権を全肯定する気はさらさら無いし、「改悪だろこんなの!」と思う法律の改革案が出ているのに黙ってはいられない。
しかし一方で、政界情勢が不安定な中をどうにか綱渡りで立ち回り、日本国内が急な混乱に陥らないように尽力している姿勢は評価するべきだと思う。

つまり、「ダメなところはダメだと言うが、いいと思ったところはきちんと評価する」というのが私のスタンスで、政権を含めて人への評価はそうあるべきだと思っている。
そういう論理的な評価から来る批判であれば、私も読む気が起こる。

だが、フォローしているアカウントのポストは、残念ながら論理的とは程遠い。

「マジできしょい」
「きしょすぎる」
「最悪の判断しかしない国」
「こんな国に骨を埋めなきゃいけないなんて泣ける」

こういったポストばかりなのだ。憂国感情を訴えるにしては感情が先立ちすぎていて、正直何を考えているのかよく分からない。もっと言うなら、選挙権のある有権者、そして社会人のポストとは思えない。
あと、子を持つ母親としての個人的な立場としても、ネットで自国を口汚く貶すばかりの姿は、この国で未来を生きる子供たちに対してものすごく無責任に思える。

その中で、特に目立った政権批判をするアカウントがあり、私はその人が描くイラストや漫画の感想が大好きだった。
柔らかい質感から来る静謐な空気のような作風の人で、私はその人が大好きだった。
その人の誕生日には「おめでとうございます。あなたの作品が読める世界に生まれて幸せです」とちょっと重めのお祝いリプをするくらいには大好きだった。相互フォローしてもらって浮かれ、その人からフォローを外されたときはアカウントごと消そうかと思うほど落ち込み、その後またフォローしてもらえた時は飛び上がるほど喜んだのだ。

そんな大好きな人だったのに、今ではフォローを外したい。あっちから外してくれれば躊躇なく外せるのになぁ…と思っている。趣味のアカウントのタイムラインは趣味の楽しいことだけ見ていたいので、その人が口汚く政権を批判するポストは邪魔なのだ。

そんなわけで、だいぶ前からミュートすることにした。
ミュートもだいぶ迷った末の苦肉の設定だったが、一度してみたらものすごく快適になった。今まではXを開くたびに「またあの批判ポスト見ることになるのか…」と少し憂鬱になっていたけど、それが無くなってスッキリした。
週に一回、好きな漫画が更新される日だけ直接アカウントを覗きに行き、感想を見てくるだけになった。相変わらず批判ポストはしているようだが、タイムラインに自動的に表示されるのと、自分からある程度の覚悟を持って能動的に見るのとでは心の重みがだいぶ違う。
ちなみに、その人がリポストしている同じような非論理的な感情優先の批判ポストは軒並みブロックしている。これでさらに快適である。

そして、今後はフォローはとても慎重になろうと改めて決意した。
ちょっと気になるポストを見かけても、そのアカウントの過去ポストをざっと見て、少しでも感情優先の政治ポストがあったらフォローを止めている。
自分の快適さが一番大事である。

一人で出来るもん

木曜日。息子が通う体操教室の日だ。
体操教室は16時30分から。小学校が終わるのが14時55分で、そこから徒歩で帰宅すると、大体15時10分〜15分になっている。帰宅後におやつを食べたりひと休みをしたりちょっとタブレットで遊ぶなどして、16時15分ごろに家を出る。これが、我が家の木曜日のルーティンである。

しかし、先日は違った。
15時10分頃、息子は帰るなり玄関にランドセルと帽子を投げ出し、「じてんしゃであそんでくる〜!」と自転車にまたがって行ってしまった。どうやら近所でクラスメイトの男の子を見かけたらしい。息子がこうやって近所の子と遊ぶのはいつものことなので、はいはい行ってらっしゃい、今日は体操教室だから早く帰ってきてね、とだけ言った。家の付近で遊ぶものだと思っていたからだ。
15時半、息子は帰ってこない。16時、息子はまだ帰ってこない。ちょっと心配になって家を出て付近を探しにいった。……誰もいない。息子の姿も、近所のクラスメイトの子もいない。
周辺をウロウロと探していたら、別の家の子を見かけた。息子を見なかったか、と尋ねると、さっきまで自転車でそこらへんを走ってたよ、と教えてくれた。あとは、我が家のある宅地の外にある公園に行ったとか、学校の方まで行ったとか、さまざまな情報が錯綜する。とりあえず足を伸ばして宅地外の公園まで見に行った。途中で会ったご近所の方に聞くも、「さっきまでお友達の兄弟といたのを見たけど」という情報を提供してくれたが、流石に具体的な行き先までは知らないらしい。
そのうちに行き違いになって息子の方が先に帰ってくるかもしれないと思い、とりあえず帰宅し待つことにした。16時10分、帰ってこない。16時15分。帰ってこない。これ以上オーバーすると教室の時間に間に合わないので、体操教室の方には「急な予定の変更があった」と伝えてお休みすることにした。
この時点で私はかなり激怒しており、家の鍵を全部閉めて電気を消した。息子が帰ってきても締め出すつもりだった。しかし真っ暗な家の隅で一人イライラしている自分がなんだかとても不憫に思えて、電気をつけてソファに座りNetflixを見始めた。もう知らん。勝手に帰ってこい。
そうしている内に17時。ガチャッ、と玄関のノブを引く音がした。息子がようやく帰ってきたか、と思った次の瞬間、外側から鍵を開錠する音が聞こえた。息子は家の鍵を持っていないので開けられるはずがない。
「ただいま」帰ってきたのは夫だった。いやお前かよ!!と言いかけたけど黙っていた。息子が帰ってないことを愚痴ると、夫はなんてこと無いように「これも成長でしょ」と言うだけだ。まぁ確かに、近所の子たちはもう親の同伴なしに子供だけで遊んでいることも多いし、私にべったりだった息子が一人で友人と遊びに行けるまで成長したのはすごいと思う。しかし、体操教室をドタキャンした事実に変わりはない。
夫の自転車を借りて探しに行こうかとも思ったが、当て所なくウロウロしたところで見つかるとは限らない。しかも、友人と一緒の時に怒られるのは息子のプライドにも関わるだろう。ここはグッと堪えて、息子の帰りを待つことにした。三年生のお兄ちゃんとも一緒らしいし、18時になっても帰ってこなかったら探しに行こうと思ったのだ。
そして18時。玄関のドアが開く音がして、息子が帰ってきた。汗だくで顔は真っ赤。「のどかわいた〜」と呑気なことを宣うので、私は口調を厳しくして言った。
「どこ行ってたの」「心配したんだよ」「今は何時?体操教室はどうするの?」
息子はキョトンとして「わかんないところにいってた」「たいそうきょうしつは、いまからいく」と言いつつお茶をかぶかぶ飲んだ。教室はもう終わっている。しかし、友達について知らない所まで足を伸ばし、そのまま帰ってくれなくなったと言うことだろうか。
私はとりあえず「とても心配したこと」「近所のお友達も、息子の行き先がどこなのか考えてくれたこと」「体操教室の先生も急に休んで心配しているだろうということ」を熱心に言い含めた。息子も暗くなって喉がカラカラになるまで外で遊んでいた(時間にして3時間近く!)ことは反省したのか。しおらしく返事をしていた。
そしてこれからは、「自転車で外に行くときはエアタグをポケットに入れること」を約束した。

しかし、ペナルティは必要である。
今日一日、息子の大好きなタブレットは一切なしということにした。息子は不服そうだったが、そもそも今後は「ダブレットを見るのは宿題が終わってから」という取り決めにしたので、渋々いうことを聞いた。
ご飯の後に宿題を広げたが、息子はとにかくやる気がない。足し算の計算はまだいいのだが、字を書くのがどうにも苦手だ。宿題は「ゃ」や「ょ」の練習だったのだが、難しい、分からない、を繰り返し、私がヒントを与えて書く字とスペースを指定してもグズグズとしていた。子供の宿題に付き合うのはなかなか大変だ。私はイライラする気持ちをどうにかギリギリまで抑え、洗い物をしたりお風呂を炊いたりしながら出来上がりを待った。
「できたー!」という息子の声がようやく聞こえると、息子はそのまま走ってやってきて私に抱きついてきた。そうなってしまうと私も怒るに怒れないので、とにかく誉めた。そしてついでに進研ゼミもやらせた。こちらは息子の大好きな「おおきなかぶ」のパートだったのであまり嫌がらずにやってくれた。
算数の計算問題の舞台が遊園地で、私が「お母さん、遊園地大好きだよ」というと、息子は急に感極まったように「あちょ〜〜」と奇声?を漏らし、その後に「めっちゃだいすき〜〜」と私に抱きついてきた。息子はたまに私への愛?が溢れ出で止まらない瞬間があるらしく、その度に奇声のようなものを漏らしながら私に抱きついてくる。
私も「お母さんも大好きだよ。世界で一番大好きだよ」と伝える。こういうことが多々あるので、私は息子を強く叱れないのだ。
小学校に上がり、自分に自信を無くしてしまうこともあるだろうと思い、ここ数ヶ月はことあるごとに「お母さんの大切な〇〇くん」と伝えるようにしている。親からの無償の愛は自己肯定を高めるだろうと思ってのことだ。だが、最近は息子の方が「〇〇くんのたいせつなまま」「〇〇くんのめーちゃくちゃたいせつなまま」と言ってくれるようになった。
こっちの自己肯定感の方が高まっている。

そうして宿題を終え、お風呂に入って寝た。
息子は流石に疲れたのか、布団に入ったら秒で寝てしまった。

絵本読みのボランティアと推しと視界狭窄と

今日は小学校で絵本読みのボランティアだった。

入学後に図書ボランティア募集のお知らせがきて、幼稚園でもやっていて楽しかったので小学校でも参加してみることにしたのだ。
最初なので一年生から。先々週は1組、先週は2組、そして今日は3組に行った。
絵本というものは種類が膨大にあるため、どんな絵本がいいのかよく分からない。とりあえずAIに相談し、良さげなものをピックアップして図書館で事前に借りておいた。

今日読んだのは、キツネがお金をもらって友達になってあげるというお話だ。小学校に入学してそろそろ二ヶ月、友達の作り方や大切さを感じ取ってほしいと思い、この絵本にした。みんな割と集中して聞き入ってくれ、私としても読んでて楽しかった。
やはり本は良いものである。

ここ数年は紙の本を読まずにスマホを見たりアプリで漫画を読んだり電子書籍ばかり見ていたが、数ヶ月前に久々に紙の単行本を買ったのだ。ONE PIECEの最新刊。ONE PIECEは毎回電子書籍で買っていたのだが、今は人気投票企画をやっており、その投票券が最新刊の単行本帯についていたので、それが欲しくて買った。
久々に開く紙の本はやはり良いもので、それ以来、なんとなく紙の本に回帰している。本屋大賞を獲った「イン・ザ・メガチャーチ」も紙のハードカバーで買った。推しの界隈に関わる話でとても面白かった。

推しといえば先日、離れて暮らす妹からこんな連絡があったのだ。
「推しに女性交際が発覚した」と。

だからなんだよ…と内心では思ったが、ヒマだったこともあり話を聞いてみることにした。

 

妹は去年辺りからとあるバンドマンのファンになり、ライブに行ったりSNSをチェックしたり自分もSNSでファンと繋がって交流したりと楽しく忙しく過ごしていた。

私はその人のことを全く知らないため話を聞いても「ふーん」ぐらいの反応していなかったが、近しい身内が楽しそうに過ごしているのはいいなと思っていた。

 

そんなバンドマンに発覚した女性関係に、妹はショックを受けたらしい。彼女がいることがショックだったのではなく、その彼女の職業がキャバクラか何かの経営者だったことがショックだったそうだ。

 

「夜職の彼女とかありえない」

「ファンの夢を壊さないでほしい」

「若い子が夜職に憧れるとか問題になってるのにそんな人と繋がってるとかありえない」

 

これは全て妹の弁だが、こうやって書き出すと職業差別もいいところだ。しかし妹は終始本気だった。

 

「そんな彼女と付き合ってるなら握手会とかサイン会みたいな疑似恋愛ビジネスに手を出さないでほしい」

 

それはまぁその通りかも知れないが、大手事務所が肝入りで売り出してるアイドルならまだしも、いちバンドマンにそこまでの清廉潔白さを求めるのは酷な気もする。

 

こんな感じで一連の話をある程度聞いて、妹は同調や共感を求めていたようなのでその通りの反応をしたおいたが、私の本心は前述のとおりかなり別の所にあった。

 

まず一番に思ったことは、バンドマンって大変なんだろうな、ということだ。

これは妹のようにアイドル視して清廉潔白を求めるファンの存在が大変なんじゃなくて、金銭の問題である。

よく聞くのは、ライブと言うものは箱代やら機材から人件費やらで収支はトントンで、物販やプラスアルファの要素が売れないと稼げないという話だ。

そのバンドマンも追加料金何千円でサイン会やら握手会やらチェキ会からを頻繁に行っていたらしい。1回の飲み会代程度で推しと触れ合えるならファンとしては安い物なのだろう。だが、私はファンではないのでそういった涙ぐましいほどの努力でどうにか黒字を増やさねばならないんだなぁと思ってしまう。

そう考えれば、付き合っている彼女が「経営者」であることも納得できる。二次会で女の子のいるお店に行くなんぞ良きあるだろうし、そこで経営者に自己紹介なり名刺交換なりSNS交換なりしてコネクションを作るのは大事だろう。太い客になってくれるかも知れないし、思わぬ人脈も生まれるかも知れない。そしてその流れから交際に発展、などよくある話である。

妹は「そういう繋がりは裏アカでやるべき!」と言っていたが、それにも内心では同調できなかった。最初はビジネス上かも知れないからだ。お互いにビジネスで知り合った場合なら表のアカウントを使うのが当たり前である。

そう考えれば、このバンドマンはむしろ誠実なほうではないかとまで思う。世の中にはライブに来たファンをあれこれ品定めしてはどんどんつまみ食いするようなバンドマンもいると聞くし、さらにそういったことを知った上で「自らお持ち帰りされに行くファン」もいるのだ。昔の友人の友人がそうだったらしい。
表立ってそう言うことはせず、独身の30代男性がきちんと「ビジネスの上で知り合い」「その延長上で付き合った」と言う流れなのであればだいぶ健全だと思うのだ。

しかし、妹はどうしても許せない様子だった。
昔、明石家さんまさんがテレビ番組で「ファンは大事にせなあかん。今日は東京、明日は大阪、来週は福岡、その次は札幌、そんな所まで会いに来てくれる彼氏なんかいない。会いに来てくれるのはファンだけや」みたいな発言をアイドルの子(AKBだった気がする)に言ったらしいが、おそらく妹はその心境なのだろう。
気持ちは分かる。限られたお金と時間と手間をかけて会いに行くのだから、ファンに夢を見させてほしい。その気持ちはよく分かる。
だが、明石家さんまさんの発言はあくまで「アイドルに向けて」である。そのバンドマンはアイドルではない。音楽一本で食っている人間だ。たとえチェキ会やらサイン会やらをしていたとしても、疑似恋愛ビジネスをメインとしている訳ではない。おそらく本人もそういう自認や認識ではないだろう。
私が思うに、それは妹が勝手にそういう印象を抱いてファンになり、その印象を押し付けているとしか思えないのである。

と、まあ、この辺はよくある話なので私としてもあれこれ言うつもりはない(めっちゃ書いてるけど)。それより気になったのは、その後の妹の発言である。

「まあ、私もこういうことで炎上とかさせたい訳じゃないけど、もしかしたら周辺がざわつくかも」
「私のせいで、今後のツアーが中止になるかもしれない」

え??
中止??
妹の発言がきっかけで、中止?

そんなバカな、と思った。どこかの経営者でもなければ事務所の知り合いでもない、何の権限もない一個人が、彼女バレをちょっと騒いだだけでプロジェクトを中止にできるのだろうか。
そんな訳がないだろう。もうすでに会場を抑えており、機材も発注しスタッフも配備済みだ。ツアーグッズの納品も終わっているだろうし、チケットだって販売済みである。多くの人間が関わり、大きいお金がすでに動いているのだ。薬物所持で逮捕とか、そう言った法的にあかんことをしない限り、中止などまずないだろう。
私は一瞬、冗談かと思った。しかし妹は終始本気である。自分の発言が周囲に大きな影響を与え、それがツアーなどの興行にまで及ぼすと本気で思っているのだ。
私はこの時、妹が視界狭窄を起こしているな、と思った。SNSなどにどっぷり浸かりすぎ、エコーチェンバーで自分の興味がある話題ばかりが目に入り、それを世界の全てだと信じ込んでしまう。妹にSNSフォロワーがどれだけいるのか知らないが、それを自分の影響力だと思い込んでしまっているのだろう。

「最近、そのバンドマンのSNS投稿が無いんだ。多分私の投稿が元で、ツアー中止の相談をしてるんだと思う」

んなわけあるか!目を覚ませ!地方在住の主婦であるお前にそんな影響力があるわけないだろ!!
ここら辺から、私はもう妹が心配になってきた。一体何が妹をそうさせてしまったのか。もっと世の中の出来事を俯瞰し、客観的に見るべきなのだが、その視点を忘れてしまったようである。

そんなことを話しているうちに妹はスッキリしたのか、私に礼を言って電話を切った。このことを主人に少し話したら、「あほか」の三文字で終わらせられてしまった。
うん、ごめん、妹よ。私もその三文字に同意である。

ちなみにちょっと気になったのでそのバンドマンのSNSを覗いてみた。
妹は「SNSの投稿が無い」と言っていたが、次の日にフツーにスタジオ練習の投稿を行なっていた。そりゃあそうである。

自転車記念日

息子が急に自転車に乗れるようになった。

 

半年ほど前に近所のお友達が自転車に乗っているのを見て「自転車ほしい!」と言い出し、買ってあげたのがことの始まりだ。

最初は補助輪をつけてガラガラと走っていたのだが、お友達皆は既に補助輪なしで乗れていたため、息子はスピードについていけず遅れをとることが多かった。

そろそろ一年生だしいいタイミングだろうと、自転車屋に行って補助輪を外してもらった。ここからが練習のスタートだ。

 

最初は上手く乗れずに「ゆらゆらしちゃう〜」と言って練習自体を嫌がっていたのだが、自転車のバランス感覚はとにかく慣れだ。サドルの高さを下げて足がつきやすいようにし、徐々にハンドルでバランスを取れるように練習を重ねていった。

 

転機は昨日。

私がハンドルとサドルを支えながら漕ぐ練習をしていたら、息子が「離していいよ!」と言った。バランスが取れている事を確認して手を離したら、息子はそのままスイーーっと数メートルを地力で漕いだのだ。私はびっくりして拍手をし、息子も得意気に笑っていた。

 

ここから先は早かった。

息子はすぐに私の支えなしで漕げるようになり、ハンドル操作もどんどん上手くなっていった。この2日間でまるで別人のように自転車が上手くなったのだ。息子自身も自転車が楽しくてたまらないらしく、土日は頻繁に外に出て自転車に乗っていた。

 

私は自分自身がだいぶ苦労して自転車の練習をした記憶があるため、息子が地力で漕げる日なんて来るのだろうか…と思っていたが、その日は案外あっさりと訪れた。毎日が成長の連続だ。

あっという間に小学生

今日は息子の入学式だった。

小学1年生。とうとう義務教育の始まりだ。これまで長かったような気もするが、思い返せばやはりあっという間だった。

 

息子が生まれた時のことは、まるで昨日のことのように思い出せる。出産予定日が一週間超過し、明日からは入院して計画分娩…という夜の2時に破水し、そのまま病院へ行って分娩台に上がり、12時間後に吸引で生まれてきた。

息子の名前は夫がつけてくれた。あだ名で呼びやすい名前で、今でも家族や先生、友達からあだ名で呼ばれ可愛がられている。

そういえば生まれてすぐに心臓疾患の疑いがあったが、一ヶ月検診で疑いはきれいに晴れ、そのまますくすくと成長した。

幸運なことにアレルギーも持病もなく、体は大きめなのだが、子供の頃から体の成長に身体機能がついてこなく、10ヶ月検診でもはいはいどころかずり這いも寝返りもしていなかった。保健師さんなども少し心配し、近所の子どもセンターでひたすらはいはいの練習をさせたりもした。

 

そうして1歳を迎えたころ、息子はようやくずり這いを始めるようになったが、今度は世界がとんでもないことになった。

新型コロナウイルス感染症の流行だ。

子どもセンターは閉鎖され、お出かけもままならなくなった。1歳の誕生日は家族3人だけで慎ましくお祝いした。あまりにも出掛ける場所が無いので近所の住宅展示場ばかりに行き、結果としてマイホームをトントン拍子で購入した。

そうして幼稚園に入園し、トイレを覚え、着替えができるようになり、お箸も使えるようになった。

文字の読み書きとお喋りは苦手だが、基本的におとなしく、優しく、大人をハラハラさせることのないいい子に育ってくれたと思う。

 

息子が生まれたとき、この子はどんなことが好きになるのだろうと思っていた。

電車か、車か、虫か、恐竜か。仮面ライダーやウルトラマンか。それともポケモンか。

 

結果として、そのどれにも当てはまらない。

息子が好きなのはゲームとYouTube、ダンスだった。特にゲームはFORTNITEが好きで、操作もめちゃくちゃ上手い。

好きな食べ物はフライドポテトとラーメン。好きな果物はいちごとぶどう。緑の野菜は苦手で、薬を飲むのも苦手だ。

そしてめちゃくちゃに甘えん坊である。4歳直前まで乳離れができなかったのだが、今でも私にくっついては「おなかさわりたい〜」と言って私の腹部に手を突っ込んでくるし、お腹を触っていないと眠れないくらいだ。

「むぎゅ〜」と言ってハグをするのも好きだ。何かにつけて私に抱きついてくるが、私も息子とハグをするのは好きなので好きなだけ抱きしめている。

お風呂はまだ一人で体を洗えず、私が洗ってあげている。シャンプーも自分一人でいつできることやら…。

そういえば自転車にもまだ乗れない。補助輪は外したので練習しなければ。

あとスケボーができるようになりたいらしい。これは私では教えられないので自分で頑張ってもらおう。

 

今月で7歳になる今の息子はこんな感じだ。

彼の人生が楽しく光り輝くものになればいいと願っている。