沈殿物を撹拌

思ったこととか感じたことの備忘録です。

ケーキと一緒に爆弾を持って帰ってきた

相変わらず暑いのでエアコンをかけて部屋にこもり、息子をあやしながらAmazonプライムで「シャイニング」を見た。冬季閉鎖されるホテルの映画なんて猛暑の午後に見るのにうってつけだ。

前に見たのはVHSの時代だったので、配信だと画質がいいぶん恐怖も数割増に思う。エレベーターから血の海が溢れ出るシーンと、紳士と熊の着ぐるみが部屋で逢引してる不可解なシーンがお気に入り。

 

日が落ちてから買い物に出かけ、夕飯を作り終わって授乳していると主人がケーキを持って帰ってきた。今日は2年目の結婚記念日だ。わーいと素直に喜んでいると、衝撃ニュースがあると言う。

 

トレードだ、と言った。

 

は?トレード?野球の話か?と思ったら、本社工場勤務の人と主人がトレードされるらしい。え?!異動ってこと?!と言ったら頷いた。時期は10月から。場所は滋賀県彦根市

 

息子抱きながら愕然とした。愕然としている私を察したのか、息子はおっぱいを飲むのをやめてポカンとしている。川崎市での育児にも慣れてきて、近所にかかりつけの小児科も見つかり、そろそろ区役所主催のコミュニティや、暑さが和らいだら児童館に遊びに行こうなどと考えていたのに。

息子がもうちょっと成長したら、東京在住の友人とランチをしたり、横浜に住んでいる兄と家を行き来して従兄弟同士で遊ばせたいなぁなんて考えていたのに。

まさか、東京オリンピックを待たずに都心を離れることになるとは。息子がこちらで暮らしたのは4ヶ月だけとなるようだ。

当然ながら、滋賀には縁もゆかりもないので頼れる人がいない。まさか、自分がそんな土地で子育てをする羽目になるとは夢にも思わなかった。人生って何が起こるか本当に分からないもんだ。

 

あまりに取り乱してしまったので、取り乱しながら母親に連絡した。母は「会社員に転勤はつきものだからしょうがないじゃない」とあっけらかんとしていた。妹にもLINEすると、忙しいのかなかなか返事が来なかったけどしばらくしたら号泣するスタンプとともに電話がきた。「会社に掛け合ってなんとかならないの?!」と言っていたけど、東京に家族とマンションを持っていて単身赴任をしている人とトレードなのでこちらの都合を突き通すわけにはいかない。そもそも、主人は本社勤務のつもりで転職したんだし。

 

息子を可愛がってくれている家族と距離が離れてしまうのは本当に寂しい。しかし、義理実家の熊本には近くなる。義両親も高齢になってきたので、その点では都合がいい。

転勤を繰り返してきた主人は大した感慨もないようでいつも通り粛々と新しい部屋の家賃相場などを調べている。しかし結婚して2年、3度目の引越しだ。根無し草はなかなかにツラい。