沈殿物を撹拌

思ったこととか感じたことの備忘録です。

ドラゴンボールって大人になってから読むと印象が変わる

とうとうこの日が来た。里帰り出産の転院の日だ。

 

隣市の総合病院は、震災後、原発事故で病院が減少してしまった地域の受け入れ先としての機能もあるのでとても大きい。自家発電機もヘリポートも整備されているので、万が一、災害が起こってもなんとかなる筈だ。

分娩予約は転院後で良いそうなので、紹介状を持ってそのまま向かった。

 

病棟の奥にある産婦人科は、基本は予約制で、初診・予約無しの人は一番最後に診察が回されてしまう。今日は特に混んでる日なので、かなり時間がかかりますが宜しいですか?とと念を押された。初診は待つのも想定内なので了承する。

血圧や体重測定、尿検査などを済まし、簡単な問診を受ける。あとは先生の診察を待つばかりだけど、やっぱりなかなか呼ばれない。同行していた母とお喋りしたり、壁に貼り出されている震災後の地域医療についての記事を読んだりして時間を潰す。ふと、本棚を見ると、ドラゴンボールが置いてあった。

産婦人科の本棚は、子育て本やベビーグッズ・内祝いのカタログ、子供用絵本のみ、というところも多いので、漫画本が置いてあるのは珍しいと思う。適当な巻(恐らく34巻あたり)を抜き取って読んでみることに。

 

内容はセルゲームだった。セルと悟空が戦っている。懐かしい。ジャンプ世代としてはたまらないものがある。

この頃、鳥山明は編集に言われるままあまり気乗りせずに描いていたそうだけど、大人が読んでもワクワクする圧倒的画力はやっぱりすごい。

話の内容は、セルと戦っていた悟空が、自分では敵わないから降参して息子の悟飯にバトンタッチして戦わせようとするけど、もともと優しい性格の悟飯に戦闘は向いてないとピッコロが猛反対する…みたいな感じだった。昔、この辺りの話を読んでいた時は、悟飯が秘めた能力を覚醒させて強くなる展開をワクワクして待っていたけど、今は子供に対する教育方針の違いで大人二人がモメているのが、こう言っちゃなんだが面白い。

鳥山明はバリバリの戦闘シーンより、牧歌的な話が描きたかったようで、その片鱗がところどころに感じるのも良かった。

 

そうこうしてるうちにようやく診察の順番が来た。3週間ぶりにエコーで見た赤ちゃんは相変わらず元気に育っていた。ひたすら口をモグモグさせているのが見えて、お昼過ぎてだいぶ経ってからの診察でお腹を空かしていたのかもしれない。現に私はぺこぺこだった。

川崎の病院には無かった3D機能がこちらではついていて、赤ちゃんの顔を推測して見ることが出来る。…けど、両手で顔を隠すポーズをしていたので結局顔は見えなかった。股間のシンボルはばっちり写っていたのでそっちを見て笑った。

 

先生から、この病院での分娩について軽い説明を受ける。地方の産院は促進剤などを使って計画分娩にするのが主流になりつつあるけど、ここは出来るだけ自然分娩で対応するらしい。紹介状を確認し、私が都心からの里帰りと知ってとても歓迎してくれた。震災後、やはり地元周辺は出産や子育て世代が減って過疎化が進んでいる。「地域に子供がいるとじじばばが元気になる」と言っていた。

 

無事に診察を終えて、最後に入院書類の説明を受けた。6月まではインフルエンザ厳重警戒のため、入院患者の面会規制を敷くらしい。18歳以下は病棟に入れず、直接面会出来るのは赤ちゃんの両親と双方の祖父母のみ、とのことだった。出産前も出産後も妹に来てもらえれば心強いとか、産まれたら地元の友達にもすぐに会いに来てもらおうとか考えていた私はちょっとがっかりだけど、取り決めならば仕方がない。

会計のためにロビーに戻ると、新生児の赤ちゃんがおばあちゃんに抱かれていた。出産後の退院か検診かもしれない。小さくて可愛いなぁと目元が緩む。

 

会計もすべて終わり、迎えの父と合流。父はもう待ちくたびれたようだ。私も母もお腹がペコペコだったので、帰りに以前も行った焼肉「宝島」でランチを食べた。ここのドリンクバーもタッチパネル式だった。

 

ようようと帰宅して、もう夕方。時間がかかるのは織り込み済みだったけど、1日が終わってしまった。今日のエコー写真をアルバムにしまい、主人と妹に連絡した。主人には分娩代金の件を伝えて確認してもらい、妹は面会ができないことを大変残念がっていた。友人にも伝えたところ、残念だけど退院したら会いに行く!と言ってくれた。

私もがっかりはしたけど、こうしてみんなが赤ちゃんの誕生を楽しみにしてくれているのはありがたいし嬉しい。本当に幸せなことだ。